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最高裁判所第一小法廷 昭和37年(オ)524号 判決

上告人

平尾巳代二

右訴訟代理人弁理士

小川長昌

被上告人

特許庁長官

佐橋滋

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

<前略>原判決が本願考案と審決摘示にかかる刊行物に記載された考案とを比較して、枠体と裏蓋板との固着手段につき、前者が枠体の内周にネジ山を設け、かつ裏蓋の外周にこれを対応するネジ山を設けて、これら二つのものを螺合して一体としているのに対し、後者が枠体と裏蓋板と接着剤で接着している点において、構造および作用効果を異にしていると認定したうえで、一般に二つのものを一体に固着する手段として、螺合、溶着、接着、かしめ止め等の方法が従来より用いられていることは、極めて周知のところであり、従つて、二つのものを一体に固着するに当り、これら周知の方法のいずれかが必要に応じて随時、随所に採用され得ることは技術上の常識であるというべきであり、また、右作用効果の相違も、固着方法の異なることから当然生ずる程度にとどまるものであるから、本願考案は旧実用新案法三条二号に該当し、同法一条の規定する登録要件を具備しないものであるとした判断は正当である。<以下略>(裁判長裁判官松田二郎 裁判官入江俊郎 斎藤朔郎 長部謹吾)

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